『とつくにの少女』1~4巻を読んだので感想など
ムーミンや岸辺のヤービの世界感をもった絵本のような作品に出会ったのでこれは紹介せねばと思いました。
『とつくにの少女』という現在4巻まで出ている連載中の作品です。(2017年12月時点)
闇の中に一筋の光ごとく存在する主人公の少女が眩すぎます。
※2018年4月現在だと5巻まで出ています。
- 作者: ながべ
- 出版社/メーカー: マッグガーデン
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: Kindle版
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ざっくりなあらすじ
昔々、遠く遥けき地に二つの国ありて――。異形の者棲まう『外』と、人間が住まう『内』に分かたれた世界で共に生きる捨て子と異形の者……これは宵に佇む、ふたりのお話。
外つ国に捨てられた人間の幼い少女「シーヴァ」、そのシーヴァを見つけて保護したのは、かつては人間だったが外の者の呪いによって人間ではない姿になってしまっている「せんせい」。
シーヴァはいなくなってしまった「おばさん」の帰りを待っているが、そもそもシーヴァは「おばさん」に捨てられてしまったのらしい。
「せんせい」はそのことを何故か知っていて、健気におばさんの帰りを待つシーヴァにそれを伝えるべきなのかどうかなどいろいろと苦悩する。
内つ国の人間は、外の国の者に体を触れられると外の国の呪いによって呪われてしまい、人間でなくなってしまう。
人間ではない状態というのは、、体は黒く、頭は角の生えた鳥のような牛の頭蓋骨のような形状になる。(鉄コン筋クリートのイタチみたいな)
食べることも寝ることも必要なく、痛みも感じなくなるらしい。
それと、呪いにかかると人間のときの記憶がじわじわと消えていってしまうらしい。
せんせいはシーヴァに呪いがうつらないように彼女の身体には触れず、外の者から彼女を守っていた。
この作品の魅力
- 白と黒の引き込まれる独特な世界観
- シーヴァを大事にするせんせいの優しさにほっこりする
- シーヴァは一体何者なの?呪いって何よ?と謎が多い。
- シーヴァがただただかわいい。
はじまりは、せんせいとシーヴァがひとつ屋根の下で暮らす風景が描かれています。
まるで絵本を読んでいるかのような気持ちになる世界観です。
ほんわかするんだけど、すぐ近くに闇を感じる世界観。そういう意味でムーミンに似ているかな。
その世界には「外」と「内」と2つあり、内つ国は外の呪いが拡大していて、シーヴァとせんせいが住んでいる家や園周辺の村もかつては「内の国」だったっぽいです。
せんせいが何者だったのか、おばさんは何故シーヴァを置いていったのか、おばさん、実は3巻で外の呪いによって「せんせい」と同じ人外になってしまうのだけれども、そのおばさんはすぐに記憶をなくしてしまうのに、「せんせい」はなぜ自我を失わずにいれるのか?
元々はじめから外つ国の人(外の者)と、元々は内つ国の人間で呪われて人外になってしまった人とで何が違うのか。
「外の者」が「お母さん」と呼ぶ、湖の底にある姿形のないものの正体は何なのか?
不思議で謎なことがたくさんあります。
セリフ周りがとても単調です。
もっとしっかりめのセリフだった方が、よりミステリアスな雰囲気が醸されるのかもしれないけれど、たぶんあえて単調なのかもしれないです。
この単調さ加減でこの真っ黒な作品を絶望的な気分でなく見ることができる気がします。絵本ぽさというか。。
それと、この単調な感じが、いびつで不安定な世界観を醸成している気もします。
せんせいが時々シーヴァに感じる胸の苦しい感じ。
それって「恋」だったり「愛おしい」って気持ちのせいなんじゃないかな!
もしかしたら、そのシーヴァに感じる愛おしさのおかげで、せんせいが我を忘れずせんせいでいられているのかもしれない。なんて深読みしてしまうくらい、おもしろいです。
この作品は海外でも読まれているようで、英語とスペイン語で翻訳本もあるみたいです。
英語のタイトルは『The Girl from the Other Side: Siúil, A Rún』です。
GoogleやYouTubeで検索するとこの本についてものすごい数レビューされています。
世界観的にも海外ウケよさそうだもんなぁ。。
"Silent Air" – The Girl from the Other Side Volume 1 | Unwinnable
Manga First Impression ¦ The Girl From the Other Side とつくにの少女
あと、今気がついたけど、セリフも単調だけどコマ割りも単調だった。
海外のマンガみたいにタテヨコで切るだけで、ナナメにカットイン?させたりするような、凝ったコマ割りが一切ない。
これも何か意図的なんだろうか。。気になる。
奥の奥にあるストーリーは、たぶん『進撃の巨人』に通じるものがありそうだなぁと思っています。
外と内。
内つ国の人間は、外つ国の呪いを恐れて内に内に逃げていく様とか。
何か宗教的な王制の支配が内つ国にはあって、外つ国はなんというかそんな血なまぐさい何かは特にない「自然」。
命は母なる大地から授かったもの、いつかは土に帰る。
そんな感じを特に4巻を読んで感じました。
ひきつづき、続きが気になるよ~~~。
いろんな人に読んでもらって、ぜひこの作品について語り合いたいw
そんな作品。
おすすめです。